ルーン文字の持つ素朴さ、直感性


北欧神話を理解するキーワード 親分、武力抗争

ルーン文字は北欧神話と関係が深く、その北欧神話は英雄崇拝の傾向が強いと言えます。
北欧神話の主神であるオーディンはギリシア神話のゼウスと比べると、全知全能の神というより「英雄」という印象を受けます。

オーディンは、やんちゃな集団を取りまとめる親分、とでも言いましょうか。
血族の契りを何よりも重視し、自分の仲間に一大事があるとすっ飛んでいく人情味溢れた神なのです。また、自らの身を犠牲にして知恵を授けてもらうような自己犠牲精神にも溢れていました。オーディンは知恵の泉の水を飲むために片方の眼をミーミルに与えてしまい、またルーン文字を授かるために槍で体を貫かれた状態で9日間過ごしたりしています。

現在残されている北欧神話が英雄伝説を題材としているせいもあるのでしょうが、何となく任侠映画でも見ているような印象を受けます。。。神々の最終戦争ラグナロクはさしずめ武力抗争と言えるでしょうか。

神話において主神は天地創造を行い、全知全能であり、神々や地上で争いが起きた時の裁きを行う存在です。しかし、北欧神話を読むと、どうも主神オーディンはやんちゃなところがあって、自分から敵である巨人にちょっかいを出したり競争を挑んだりするようなところがあるのですね。これはトールハンマーで知られるトール神もそうです。
日本の昔話に登場する桃太郎が鬼ヶ島へ出かけて鬼退治をするように、オーディンやトール神も時々巨人の住む国ヨツンハイムへ出かけては巨人の鼻を明かしてやります。

ここで面白いのが、最終戦争ラグナロクでは巨人たちと死を賭けた戦いを繰り広げるのに、それまでは巨人たちと喧嘩はしても殺してしまうようなことはしない、ということです。

トール神がミッドガルド蛇(ミッドガルド国を取り巻く巨大な世界蛇)を釣り上げてしまった時も、一緒にいた巨人ヒミールが恐れおののいて釣り糸を切ってしまったのに、トール神は怒ってヒミールの横っ面を張り飛ばしただけでした。トールハンマーを投げつけてヒミールを殺してしまうこともできたはずですが……。

巨人も巨人で、そんな神々が巨人らの家をふらっと訪ねて来た時も、殺してしまうようなことはせず、最初は断っても結局は親切にも泊めてあげるのです!巨人はラグナロクで神々と死闘を繰り広げるくらいですから、やはり神々を殺してしまうことは難しくなかったはず。

というように、ちょっとした小競り合いをしながらも、ラグナロクまでは神々と巨人が共存しているところが、北欧神話の面白いところです。共存しているからこそ、武勇伝が生まれるわけですね。やんちゃな男の子が「俺は●●と喧嘩して勝ったんだぜ!」「俺は▲▲と賭けをして●●を奪い取って来たぜ!」みたいな。

ローマ人タキトゥスが著した『ゲルマニア』でも、ゲルマン民族の男たちは戦うことが仕事だと書かれているように、戦いのない平和な日常は男たちにとって退屈極まりないものだったに違いありません。ちょっとした小競り合いは生活に必要だったのでしょうね。

ルーン文字の分かりやすさ

上記のような背景を踏まえてルーン文字を眺めてみると、ルーン文字を構成している要素の一つ一つが彼らの生活に密着した素朴なものであり、だからこそ難解な概念を持たず、直感に訴えかける分かりやすさがあるのです。

ソーンという文字を考えてみましょう。
ソーンは巨人、トゲ、またトールハンマーを表す文字とも言われています。そこから派生して、障害・妨害・試練・警告という意味になり、占いでソーンが出ると前に進めない状況であると解釈します。しかし、その根底には「必要な障害」という意味もあって、その障害を乗り越えることが必ずしも正しいわけではないことを知っておかなくてはいけません。

北欧神話において巨人は必要悪なのです。巨人の存在が必要であることは、上記に書いた文章を読んでいただければ分かるでしょう。
また、トゲは危険区域を囲む鉄条網のように入ってはいけないことを警告しています。男性にとって身を破滅させるほどの危うい美女を「美しいものにはトゲがある」と、薔薇のトゲに例えるのも同じこと。
トゲは「それ以上近づくな!」と警告を発しているわけですね。

私はこの分かりやすさ!に感動し、自分のことを占う時はもちろん、日常生活の範囲に関係した事柄はもっぱらルーン文字で占うことが多くなりました。「目の前にあるモノは何か?」「どのような行動すればよいか?」……このような問いに対してルーン文字は直接的に答えてくれるからです

タロットもちょいちょい使いますが、私は全体の流れを追いたい時に使います。
どのような意図が働いてこれまでの流れが生まれたのか……みたいな、ちょっと日常の次元を超えた思索的な観点で占いたい時です。簡単に言うと、神様がその人に課した成長ストーリーを俯瞰して眺めたいような時に西洋占星術のトランジットと組み合わせてタロットも使う、という感じでしょうか。

占う時のツールに何を使うかは占う方それぞれの自由ですし、ツールそれぞれとの相性もあるでしょう。大事なのは、自分のポリシーを決めたら後はそのポリシーに一貫性を持たせて占うということだと思います。ただし、そのポリシーが決まるまでは占いツールのチョイスや占い方を試行錯誤して探し出すことは必要でしょう。

ルーン占いで言えば、私は正逆の位置による解釈の違いはとらず、あくまでも相談内容に基づき、ルーン文字の意味がポジティブに出ているかネガティブに出ているかを判断するようにしています。それは、物事というのは全て二面性を持っているからです。

ルーン文字は「今、ここ」をズバッと分かりやすく切り取ってくれますが、その反面、ルーン文字の持つ二面性を十分理解していないと判断を見誤ってしまいます。
先ほどのソーンという文字を例に出すと、ソーンは障害として相談者の目に映りますが、その障害は実は相談者を安全な場所に留めるための柵なのです。柵を無理やり超えてしまうと別の問題が相談者に降りかかることになるでしょう。どちらが良いかはその時になってみないと分からない部分もありますが、少なくとも現段階では無理に超えない方が得策だと解釈できます。

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